『「健康な土」「病んだ土」』
4406030883
 岩田 進午(著)
 新日本出版社 2004-06


メモです。

■毎年600万ヘクタール(日本の全農耕地面積を超える)の大地が砂漠化・不毛化。要因は森林伐採、過放牧、灌漑による土地の塩類化。
■植生の多様性が土を豊かにする。農業は土地に単一の植物のみを繰り返し栽培するものだから、そもそもが自然を破壊する行為である。
■「健康な土」とは団粒構造で有機物に富んでいる。
→【生物的緩衝作用】雑木林の土には多様な微生物・動物が生息し、それらの生物、例えば病原菌のみが異常に増殖することを抑制している。
■「死んだ土」とは、端的に言えばミミズがいない土。塩類化を除いては、炭素循環が途切れる事に起因する。すなわち、落葉、朽ち木などの腐食物による有機物の供給がなくなること。
■土中養分のアンバランスが病害虫を誘発。農薬による生物多様性の低下も同様。
■土は「肥料の器である」との考え方をやめ、自然の力を利用し生態系など環境など大きな視点から考える必要がある。

ざっとこんな感じでしょうか。
私が感心したのはアイヌのお話のくだりで、女の子は5歳になるまでに「大地に熱湯をこぼしてはいけない」ことを教わるという事。
土中の生物を殺すだけでなく、そこに1年も2年も木や草が生えてこない事があるからだそうです。

…ちょーっと待って。
個人向けの園芸Tipsで、古土を再生する際に熱湯をかけて消毒、あるいは黒いビニル袋に入れて夏場のコンクリートの上に放置する、というのがよく言われてます。殺菌消毒の為なんだそうで。
それって、この本によると「ミミズを殺す」つまり「死んだ土」にする、って事になるんじゃないかと。
まあ、その後で新しい腐葉土足して使えばいいっちゃいいんでしょうが。


著者の「人間は自然の一部にすぎない」という主張は、私も日本人だからよくわかります。そもそも日本教(神道と言ってもいいけど)は自然崇拝からなるものだから。著者が引用する北部アメリカの先住民族も、アイヌも、やはりアニミズムの民族ですよね。
ただ、ものは言い様といいますか、「当然の事なのだ」と大上段から振りかざしても、それで例えばキリスト教文化圏の人々を納得させられるのかと。
自然環境を守って共生していかなきゃ、自分の首をしめる事になるんだよ、とデータを元に論ずればいいだけなんじゃないかな。なんで敢えてややこしい所にややこしいやり方で踏み込むのだろう。

グローバルに考えれば考えるほど政治、経済、文化、様々な問題が複雑に絡み合って埒があかないのが環境問題だから。


それから、病んだ土を健康な土に戻す方法もいくつかの模索例があげてはありましたが、どれも決め手に欠ける感が否めませんでした。
もっとみんなで土について考えよう!って丸投げじゃん…

まあ、土の危機を伝える啓蒙の書だった訳ですが。うーん。。。
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05/30 23:22 | その他 | CM:0 | TB:0
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